シーン2/情報を求めて。―精霊の住まう地、フォレスタ・グレダ。―
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遺跡での魔物退治の翌日。

コウとマークは次の街へと移動するために村を発つことにした。

村人達に見送られながら、村を出発するふたり。


・・・と。村を出てしばらくしてからマークが口を開く。

「・・・て、次の街ったって。別に決めてもないじゃん。・・・どーすんだ?」

そういえば、と。コウもしばらく考えて。

「ここからだと1番近いし。
グレナダへ行こう」

そうマークに告げた。



コウとマークが旅する
大陸は、東西に伸びる『トリトン河』によって二つに分けられている。

それぞれ河より北側は
『ハイランド』。南側は『エスメラルダ』という国が治める。

ふたりがこれから行こうという
『グレナダ』は、この『エスメラルダ』側にある巨大な商業都市である。

様々な人やモノが行き交う場所であり、また、エスメラルダでもっとも巨大な

ハンターギルド施設がおかれている場所でもある。

その、グレナダに行くにはトリトン河にかかる巨大な橋を渡る必要がある。

この橋と言うのは、河の東西に1つずつ架かっているのだが・・・。

現在、東側の橋は倒壊してしまっており、渡ることができない状態であった。



ふたりであらためて大陸の現状を確認したあとで、マークが嫌そうに言う。

「東側の橋がダメってーことは・・・西のあの森を抜けにゃならないのかよ・・・」

マークの言う“西の森”―

それは大陸中央西部、トリトン河を挟んで南北に広がる広大な森だ。

『フォレスタ・グレダ』と呼ばれるその森を進まなければ、橋を渡ることはできないのだが、

マークが嫌そうな顔をしたのには他に理由があった。



『エルフ』―。

この世界には、コウやマークのような
『人間』と呼ばれる種族の他に

そう呼ばれる種族が存在する。

とがった耳以外は人間と同じ容姿を持ち、また、人間には使えない

強力な“力”を行使することができるという。

それ故、“力”の劣る人間種族とは古くから対立関係にある。

そんな彼らの王国が、広大なグレダの森のどこかに存在するのである。

彼らはそこ(王国)に近づく人間(及び全ての存在)に容赦なく攻撃を加えてくるといわれ、

実際に迷い込んだ旅人の中に、襲われた者も存在しているとの報告がある。



「まあ、エルフ達のテリトリーに入らなきゃいいって話なんだけどさ」

「そんなの、どこまでが彼らのテリトリーなのかわからないだろ」

「・・・あー、やだやだ。そんな物騒極まりない森を抜けにゃならないなんてー」

「そうそう、出会うもんじゃないだろ。もし、出会っても・・・」

「出会っても?」

「逃げればいい」

「簡単に言ってくれますねぇ」

・・・そうして話しているうちに、ふたりはフォレスタ・グレダへと足を踏み入れる。



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